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ビタミンA

発見の時期

アメリカのメンデルは1913年、マッカラムが脂溶性A因子と呼んだ牛乳成分の欠乏したえさでネズミを飼うと、成長障害や眼病になることを観察して、ビタミンA欠乏症を始めて報告しました。
マッカラムも同様の実験をして、脂溶性A因子の欠乏したネズミに眼球乾燥症などが見られ、最後は失明することを確認しました。ビタミンAの化学構造はスイスのカラーが1913年に明らかにしました。ほぼ同時にネズミの体内でβカロチンがビタミンAに変わることも証明されました。

化学名

ビタミンAにはA1、A2の2種類があります。A2は淡水魚の肝臓などに見出されますが、人の摂取量は少なく、Aといえば普通はA1をさします。ビタミンA1の化学名をレチノールといいます。構造の少し異なるレチナール、レチノイン酸などの形でも存在し、それらのビタミンA類縁体をテチノイドと総称しています。

注目される薬理作用

ビタミンAの発ガン抑制作用は、1926年に内務省栄養研究所(現在の国立健康・栄養研究所)の藤巻良知先生が報告されて以来、数々の動物実験でその作用が追加確認されてきました。しかしながらビタミンA(レチノール)は過剰摂取すると悪影響があり、がんを防ぐからたといって大量に摂取するわけにはいきません。そこで、最近ではこのビタミンAにかわって、カロチノイドのがん予防効果が注目を集めています。

カロチノイドは自然界に500種類以上が知られている橙色や黄色の色素で、このうち約30種類は体内でレチノイドに変わるプロビタミンA(ビタミンAの前駆体)としての活性を持っています。その代表がにんじんなどに含まれるβカロチンです。βカロチンはレチノイドに変化してがん予防に役立つだけでなく、そのままの形で血液中や細胞膜などで抗酸化作用(酸化を防ぐ作用)を発揮して、がんや生活習慣病を防いでくれます。

トマトやスイカの赤はリコペンという色素によるもので、βカロチンを多くは含まないため、ビタミンA効力はあまり強くはありませんが、カロチノイドとしての抗酸化作用はリコペンにも期待できます。

主な生理作用

映画館などの暗いところに入ったとき、徐々に目が慣れる現象を「暗順応」といいます。目の網膜には、明るいときに働く錐体細胞と暗いときに働く桿体細胞がありますが、桿体細胞にはレチナールとたんぱく質が結合したロドプシン物質が含まれています。

ロドプシンはわずかな光にも敏感に反応して壊れ、その刺激を情報として脳へ伝えた後、ロドプシンに再生されます。暗順応とは、これが繰り返される過程のことでレチナールを必要とします。

ビタミンAはまた、皮膚や粘膜を健康に保つ作用をしています。皮膚や、口、鼻、のど、肺、胃、腸などの粘膜の外界に接している細胞を上皮細胞といいますが、この上皮細胞は病原菌などが体内に侵入するのを防ぐバリヤーの役割をしています。レチノイン酸は上皮細胞を正常化して皮膚や粘膜の免疫機能を維持しているのです。また、脂溶性A因子の欠乏がネズミの成長を妨げたように、成長促進もビタミンAの重要な作用のひとつといわれています。

1日の所要量は?

食物から摂取しているカロチノイドの90%はβカロチンで占められていますので、ビタミンAといえば実際上はβカロチンをさします。そこで、ビタミンAは半分をレチノールとして、半分をβカロチンでとることが勧められています。所要量としてはβカロチンをレチノールに換算して加えたビタミンA効力(IU)であらわされます。
βカロチン2μgから体内でレチノール1μgができますが、βカロチンは吸収が悪く、平均してレチノールの3分の1の吸収率といわれていますので、βカロチン6μgがレチノール1μgに換算されます。

ビタミンAの1日所要量は成人男性で2000IU、女性で1800IUです。1IUはレチノール0.3μgなのでβカロチン1.8μgとなります。
したがって、2000IUをレチノールとβカロチンから半々ずつ取るには、レチノール300μg、βカロチン1800μgが摂取の目安となります。

≪βカロチン1800μgをとるには≫
にんじん1/6個(25g)、かぼちゃ1/5個(212g)、ほうれん草1/4束(58g)、シュンギク1/4束(53g)、ブロッコリー1株強(250g)、とまと大2個(462g)、びわ6~7個(250g)、みかん22~23個(1500g)、のり3~4枚(8g)など

≪レチノール300μgをとるには≫
レバー1かけ(2~3g)、あん肝1かけ(3~4g)、卵3個(150g)、牛乳1ℓ強(1110g)、うなぎ蒲焼少し(20g)、ししゃも6~7尾(150g)、ほたるいか4~5はい(20g)など

βカロチンを食べてがんや生活習慣病を防ごう

1962年に、ビタミンAの欠乏したネズミに上皮細胞がん、とくに胃がんが多く発症するという研究結果が発表されました。その後のさまざまな動物実験結果においても、ビタミンAを摂取することによって、上皮細胞の免疫力が高まり、発ガン抑制作用があることもわかってきました。
また、最近のがん研究では、体内でビタミンAに変化するプロビタミンAであるβカロチンを豊富に含む野菜や果実を多く食べている人は、がんの発症率が引くと報告されています。これは、βカロチンに動脈硬化や心臓病の原因となる活性酸素を抑制する働きがあるからといわれています。βカロチンは緑黄色野菜に豊富に含まれています。野菜嫌いや外食しがちな人はビタミン剤やサプリメントなどで積極的の補っていくことをお勧めします。

過剰症は?

動物の体内にあるビタミンAの90%は肝臓に貯蔵されますので、ビタミンAを多く含む深海魚やさめの肝臓を食べた人に時に、過剰症が見られます。ビタミンA過剰症が最初に報告されたのも、北極熊やアザラシの肝臓を食べた探検家のケースで、激しい頭痛、めまい、悪心嘔吐などの急性症状が現れます。

レチノールの摂取量は成人では1日3000μg(10000IU)以内にとどめるべきです。一方、βカロチンは1日30㎎(16666IU)以上を摂取しても手のひらや足の裏が黄色くなる症状以上の毒性は認められていません。そのためβカロチンはレチノールに比べればはるかに安全といえます。

欠乏症は?

よく知られているのが夜盲症(鳥目)で、暗いところでの視力がまず失われます。さらに欠乏が進むと、角膜上皮細胞が壊され、角膜が乾いて鱗状に変性したり、潰瘍ができたりして最後は失明します。
発展途上国では現在でも年間50万人以上の子供たちがビタミンA欠乏症で失明しているといわれています。このほかにも、皮膚や粘膜など全身の上皮細胞に異常が現れ、皮膚炎、下痢、感染症などを引き起こします。

Aを多く含む食品は?

レチノールは動物性食品に多く、レバーのほか、卵、牛乳、バター・チーズ・アイスクリームなどの乳製品、魚に多く含まれています。また、βカロチンは、にんじん、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。
βカロチンは、油に溶けた状態出なければ吸収率が著しく落ちるので、ほうれん草はおひたしよりバターいためでとれば、レチノールの補給になり、ビタミンA効力が高まります。

1日の所要量を食品でとる場合の例


  • うなぎのかば焼き:100グラム当たり1500μg含みます。1日の所要量をうなぎのかば焼きでとると約4分の1串(40グラム)

  • とりレバー(生):100グラム当たり1400μg含みます。1日の所要量をとりレバーでとると約4グラム

  • 卵(生):100グラム当たり150μg含みます。1日の所要量を卵でとると約7,6個(400グラム)

  • マーガリン:100グラム当たり1800μg含みます。1日の所要量をマーガリンでとると約大さじ2と2分の1杯(約33グラム)

  • ほうれん草:100グラム当たり700μg含みます。1日の所要量をほうれん草でとると約3分の1束(85グラム)


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ビタミン類

ビタミンとは人の体で作り出すことができない物質で、健康の維持には欠かすことのできない微量栄養素です。ビタミンは、体内のさまざまな代謝にかかわり、生体の機能を正常に保つために重要な栄養素です。
ビタミンは、ビタミンB群やCなどの水溶性ビタミンと、ビタミンA、D、K、Eの脂溶性ビタミンに分けられます。
ビタミンの働きとして従来より、代謝調整作用や補酵素作用が知られていますが、各種がんの発生予防や老化を防ぐ機能など最近注目の機能も研究により明らかにされてきています。健康を維持増進してゆくためにビタミンの作用を知って、生活に積極的に取り入れてゆくようにしましょう。

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