虫食いだらけのビタミン
| ビタミンFやGはどこに行った? |
ビタミンってたくさんの種類があるのはわかったけど、なぜアルファベット順に並んでいないのでしょうか?ビタミンBにしても数字が飛んでいるものもあるし不思議だと思いません?
1915年にアメリカのマッカラムという科学者が牛乳中の成長促進因子には脂溶性のA因子と水溶性のB因子があることを発表しました。これらは後にビタミンA、ビタミンB(B1、B2、B6などの混合物)と呼ばれるようになります。
ほかにも1919年壊血病予防因子をオレンジ果汁から発見したイギリスのドラモンドはこの因子を水溶性C因子と呼びました。
そして、脂溶性A因子、水溶性B因子、C因子をビタミンA、B、Cと呼ぶことを提唱しました。この年は、くる病予防因子、1922年にはねずみの不妊予防因子が相次いで発見され、アルファベット順にしたがってビタミンD、Eと名づけられました。1926年には、ビタミンB1が純粋な結晶として分離され、またねずみの成長促進因子としてビタミンB2が発見されました。これらは、当初ビタミンF、Gと呼ばれていましたが、英国医学研究会議が1927年にアミンをB群にまとめるため、B1、B2と改名することを決議し、以後、FとGがビタミンの名前から消えることになったのです。
体内で合成できないので食物から摂取する必要のある脂肪酸(脂肪の成分)を必須脂肪酸(3種類あります。リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸)と呼んでいますが、これらの必須脂肪酸も一時、ビタミンとみなされた時期がありました。このときは欠番をもらってビタミンFと呼ばれましたが、現在では多価不飽和脂肪酸(PUFA)と呼ばれ、ビタミンの登録から省かれています。
また、アルギンサン、シスチンなどのアミノ酸(たんぱく質の成分)の混合物がビタミンB4とめいめいされた時期があり、B4もB群の中で欠番になっています。
このような経緯からビタミンの名前はアルファベットもB群の数字も虫食いだらけになっています。虫食いになった大きな理由は、第一に発見者が新しいビタミンであると勇んで命名したものの、純粋な物質として分離されなかった幻のビタミンの場合で、I(B7と同じ物質)、J、L、B14などがこれにあたります。
第2は、ビタミンと同様の生理作用を持っているものの、人での欠乏症が証明することができずに、現在はビタミン様作用物質として扱われている場合です。これにはビタミンP(フラボノイド)、U、B13(オロット酸)、B15(パンガミン酸)、Bt(カルニチン)、Bx(p-アミノ安息香酸)などがこれにあたります。
第3に、確かにビタミンであったが、すでに発見済みのビタミンと同一であることが判明した場合で、ビタミンH(ビオチン)、M(葉酸)、B3(パントテン酸)、B5(B6またはニコチン酸)、B10とB11(B12と葉酸の混合物)がこれにあたります。
第4は、発見者がアルファベット順を無視して命名した場合でビタミンH、K、M、PPがこれにあたります。Hは皮膚炎予防因子、Kは出血性疾患予防因子として発見され、それぞれドイツ語の皮膚(Haut)、血液凝固(Koagulation)の頭文字を取って命名されました。
ビタミンを知る上で、虫食いだらけで覚えにくいですよね。でも、研究者たちが一生懸命研究して、発見していった歴史を考えてみると、虫食いだらけのビタミンたちもなんだか親しみがわくような気がするのは、私だけでしょうか?(#^.^#)



