ブラックコホシュ
海外におけるブラックコホシュ(ラケモサ)の利用が疑われた肝障害の報告
更年期障害の諸症状を緩和する目的で利用されているブラックコホシュ(ラケモサ)との関連が疑われる肝障害の事例報告が海外で出されています。
ブラックコホシュ[英名:black cohosh, black snakeroot、学名:Cimicifuga racemosa(L.)](別名ラケモサ)は、更年期障害の諸症状(例えば、ほてり、のぼせなど)や、月経前症候群に対して経口摂取で有効性が示唆されている健康食品素材です。適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われており、利用上の悪影響としては、激しい頭痛、めまい、視覚障害、心拍数の減少、吐き気、嘔吐などが報告されています。効果が期待できるまでには4週間程度の摂取が必要で、使用の上限は6ヶ月程度とされています。
2004年、このブラックコホシュの利用が疑われる肝障害の事例報告が海外で出され、英国から注意情報が出されました。当初の肝障害の報告はいずれもオーストラリアから出されたもので、2003年に6例、そして2004年に1例ありました。その後も有害事象報告が相次ぎ、2006年オーストラリアでは49例、英国では31例、フランスでは2例、フィンランドでは2例、の症例が把握されています。また、はっきりした因果関係は明確ではありませんが、2006年にカナダで肝障害3例、米国で死亡1例の報告があります。
欧州医薬品庁(EMEA)のハーブ医薬品に関する委員会(HMPC)では、入手可能なデータの評価により、これらの肝障害はブラックコホシュの利用と関連している可能性があるとみなし、肝障害の症状が出た場合のブラックコホシュ使用の中止、医師への相談、医師から患者への使用確認、症例の報告を促す勧告を出しています。
また、これを受け英国医薬品庁(MHRA)、フランス食品衛生安全庁(AFSSA)、フィンランド食品安全局でも、製品表示への警告の追加など、注意喚起を行っています。
カナダ保健省(Health Canada)も、消費者に対しブラックコホシュ製品に注意し、利用に対する不安を感じるときは医療関係者に相談すること、さらに製品を使用して倦怠感、衰弱、食欲の減少、皮膚や白眼の黄疸、黒色尿、腹痛など肝障害の症状が感じられる場合は使用を中止して医師に相談することなどを伝えています。
日本国内でブラックコホシュ又はこれを含む食品を摂取したことによる健康被害事例はこれまで報告されていませんが、2006年8月、厚生労働省はブラックコホシュの利用に関して注意喚起を行いました。
健康食品には複数の素材が添加されることが多く、有害物質が混入している可能性もあります。また健康障害の発生には利用者の体質の問題、医薬品の併用の 問題も関与するため、健康食品の利用と健康障害発生との因果関係を証明することは極めて難しいのが実情です。今回出されている情報についても、今後の注意 深い観察が必要です。他の健康食品にも該当しますが、もし利用するときは注意して利用し、体調に異常を感じたら直ちに摂取を中止して、医療機関を受診し、 最寄りの保健所にもご相談下さい。さらに医療機関を受診している方は、健康食品を摂取していることを医師等の専門職の方にお伝えしておくことが大切です。



